アラブの声ブログ

「アラブの声ML」から極一部を抜粋、日欧米メディアが伝えない主にアラビア語のメディアからイラク問題を中心とするアラブ・イスラム世界の記事を抄訳し発信。リンクや商業目的以外の転載は自由です。

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米国の中東戦略は本当に失敗したのか? パレスチナ人論客が警鐘

هل الاستراتيجية الامريكية في الشرق الاوسط فاشلة فعلا؟!

中間選挙での民主党勝利やラムズフェルド国防長官の更迭などに続く最近の米国のイラク撤退論の流れで、米国は敗北したとの論調がアラブ世界では多く見られる中、イスラエルによる占領の辛酸を嘗め尽くし、占領軍の本質を熟知するパレスチナ人の論客が、このような楽観論を戒め、アルジャジーラなどを間接的に批判した。筆者はカイロ(エジプト)にあるイスラム諸学の殿堂であるアズハル大学のガザ(パレスチナ)分校の文学・人間学学部長で、政治学を教えるイブラヒーム・イブラーシュ教授(パレスチナ人)で、11月28日付のアルクドゥス・アルアラビーなどが掲載した。
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 イラクやアフガニスタンで米兵が一人殺されたり地域で反米デモが起き、米国の政策を批判する声明や評論が出るたびに、知識人や政治家、ジャーナリストアラブのテレビ局、果ては米国の同盟国の衛星テレビに至るまで、米国の戦略が失敗したと歓喜の声を上げるが、実際に米国の戦略が頓挫したのだろうか?

 米国の戦略で実現したものと実現していないものを検証しよう。半世紀前からこの地域の米国の戦略目標は、対象が「赤の危険(共産主義)」から「緑の危険 (イスラム)」に入れ替わった程度で殆ど変わっていない。各シンクタンクの多くの報告書や公式文書等で明らかになっているこれらの目標を列記する。

1) 地域の石油の支配、もしくは敵国による支配の阻止。
2) アラブ諸国の分裂、バルカン化。
3) イスラエルを全アラブ国家よりも強大に保つ。
4) アラブの統一阻止。
5) この地域における(特に非アラブの)米国に友好的で同盟する支配層を直接、間接的に保護する。
6) この地域の諸国を治安協定や条約の網で結び、地域内に基地を建設する。


 これらの目標はバグダード条約(1955)から始まり、レバノン介入(1958)、エジプト、シリア統合への陰謀企画(1958-1961)、アラブの反動勢力との同盟、地域の全解放運動への反対、イスラエルの無制限の支援など米国が実現を目指してきたものだ。

 これらの戦略目標を米国当局が常に公表していたわけではなく、専制政治反対とか共産主義やテロとの対決、民主主義の普及、少数民族の保護、平和維持、地域の安定などの標語を振りかざして地域への介入を正当化してきた。

 1990年以来米国が実現した本音の戦略目標は以下の通りだ。
1) アラブで最大の工業、技術軍事大国(イラク)の破壊。
2) アラブとイスラム諸国で最も歴史が古い国家(イラク)を分裂させた。
3) イラクと湾岸アラブ諸国の石油支配。
4) 大部分の湾岸アラブ諸国に米国と西側諸国の軍事基地を建設した。
5) アラブ領域の体制解体。
6) イラクと地域(訳注:パレスチナ、レバノン、ソマリア、スーダン、シリアなど)に分派対立を広めた。
7) 地域諸国(湾岸アラブ諸国など多数)を治安協定と同盟で結んだ。
8) 地域諸国の財力を消耗させた。
9) アラブに競合し、またアラブの統一へのいかなる動きをも阻止する勢力として、イランを強化した。
10)パレスチナ人と(仲介者を介さずに)直接に接触する道をイスラエルに開いた。
11)(占領に対する))全ての抵抗或いは妨害運動にテロリストの刻印を押し、アラブ・イスラム諸国を抵抗勢力撲滅に抱き込んだ。

 仮に米軍が今撤退したにせよ、過去のような一つの統一イラク国家が戻るだろうか? 一言で言って、上記の事項はイラクとこの地域に於ける米国戦略の挫折を示すものだろうか、それとも勝利だろうか? 苦いことであっても、米国戦略は成功していると言うのが真実である。中間選挙で民主党が勝利したが、米国の戦略を変えるものではない。

 それでは何故一部の評論家や衛星テレビは、米国が敗北すると主張するのか? 彼らに戦略的な視点が欠けているという表層的な理由ならまだしも、彼らや彼らが意見を発表する報道機関が、彼らとこれらの国家が占領米軍と密かに協調していることを覆い隠すために、自分たちは米国の政策に反対姿勢を採っていると強弁したいためであるなら、ことは深刻だ。

 我々アラブ人やムスリムに対するこの地域における米国の戦略は、実質的には成功している。一方、意志の面でアラブ大衆は敗北していないが、現実としては勝利もしていない。(闘争の)継続と更なる改良、思考が求められている。意志だけで現実を敗北させられるだろうか? それとも、抵抗の仕方や、特に米軍基地を誘致している体制と米国との関係に関する政策や行動を見直しが必要ではないのか?
(訳注:カタールには米国中央軍の本部が置かれ、衛星テレビ局のアルジャジーラの本社所在地であるから、アルジャジーラとカタールを暗に批判している)
 
http://www.latef.net/news/89.html

イブラヒーム・イブラーシュ教授は1952年生まれで、モロッコの首都ラバトにあるムハンマド五世大学法学部で博士号取得で、多数の著作あり。
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米国がエチオピア軍を代理に使いソマリアに関与する理由

الصومال امتداد لمشروع الشرق الاوسط الكبير

米国はエチオピア軍を代理に使いソマリアの紛争に深く関わっている理由は何か? そこには米国の戦略的利益、イスラエルの安全保障にかかる利益、そしてイエメンとジブチ、エリトリアの間に位置するシー・レーンとして死活的重要性を持つ(紅海とアラビア海を結ぶ)マンダブ海峡やエチオピア高原のタナ湖を源流とする青ナイルの水源水を巡る争いが関わっている。12月28日付のミドル・イースト・オンラインが、イラク人評論家、カーズィム・ムハンマド氏の評論を掲載した。
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 アフリカのこの地域、特に「アフリカの角」と呼ばれる戦略的要地に位置する破綻国家ソマリアは、銅、錫、塩、莫大な量の海産物といった天然資源に加えて、ウラン、天然ガス、商業ベースでの大量埋蔵量があると見積もられる石油を有している。ソマリアの海岸線は3千キロ以上に及ぶ。また国家が脆弱で、開発と主権という基本要素が失われていることから、大国によって資源が略奪されてきた。

 面積が60万平方キロメートルを越えるこの広大な国は、19世紀末から20世紀初頭にかけて国内各地が占領され植民地化された。ソマリア北部は英国の統治下に、南部はイタリアの統治下に置かれ、フランスの支配下に置かれた土地もあった。また、国の西側に位置するソマリア領のオガデン地方は1948年に、英国がエチオピアに統治権を委譲した。これは、この地域の悲惨な国々の間に緊張と紛争の火種を残しておくという、英国の伝統的政策の一部だ。

 エチオピアは過去数十年にわたり、分裂状態のソマリア各地方を統一できる強力な中央政権が成立しないよう努めて来た。1978年に始まったオガデン紛争(下記参照)が失敗に終わると、エチオピアはソマリアのバーレ政権に反抗する部族長たちを匿い、武器を与えバーレ政権を打倒するよう支援した。またエリトリアとの国境線が画定し、エチオピアが海への出口を失うと、ソマリア各地を軍閥同士で分配するよう促し、自国の代理としてこれらの軍閥の多くをエリトリア政府との争いに駆り出した。

 エチオピアの懸念は常にソマリ族が居住し、自国が占有しているオガデン地方の問題と関わっている。同時に、ソマリアに強力な統一政権が成立することでイスラム主義が拡大し、エチオピア国内のイスラム教徒に影響を与えエチオピアの政権構造の性格にも影響が及ぶことをも恐れている。

 このような懸念は、埋蔵エネルギー(石油・天然ガス)の戦略的な航路として、また米国がアルカーイダの活動センターになると主張する拠点を叩くために「アフリカの角」地域の確保を狙う米国の野望と一致した。米国の真の狙いは、米国の意のままにならない独立主権国家の誕生を妨害することであった。

 新保守主義者(ネオコン)による一般的な米国の中東政策の特徴は、米国の対アフリカおよび対ラテン・アメリカ政策と異ならない。つまり支配と搾取に貪欲な資本主義思想に従う米国一極主義のやり方と結び付いている。そのため、米国の政策は直接戦争及び代理戦争を起こし、宗教・宗派対立を扇動し、一国の分裂を敢行し、自国の必要な目標を通すために意のままに操れる「国際的合法性」を利用することも厭わない。

 現在ソマリアで進行中のシナリオでも、上述の事態が起こり得る。ソマリアとの間に元来根深い問題を抱えるアフリカ諸国も加入するGATTによって承認を受けた暫定政府は、実効支配しておらず、問題の当事者なのだ。何故ならこの暫定政府は、何千人もの国民が殺害された内戦を戦った軍閥から成り、彼らこそ国を、直接的にはエチオピアの、そしてソマリア沖合いに停泊する米軍艦による米国の保護と支援を受けた各地方の軍閥に従うマフィア領地に変えた者たちであった。

 イスラム法廷連合が民衆的影響力を蓄え、それまでの分裂状態から広範な国民を結集し、自治・行政能力を高め、ソマリアの大部分を統一し、治安を確立すると、紛争相手の戦闘集団や軍閥らはエチオピアやケニアへ逃亡した。

 すると、暫定政府は国を愛する民衆から正当性を問われることになった。そこで、首都に隣接した小さな町に転げ込み、国家の治安にイスラム法廷連合が関わるテロの危険をエチオピアとともに叫ぶことで、「過激派」に奪われた自己の正当性を喧伝し始めた。エチオピアは、アルカーイダと関係があるとするイスラム法廷連合に武器を供与しているとしてエリトリアを非難した。

 現在、ソマリアでは米国のシナリオに沿ってレバノンで展開されたのと同様の光景が繰り返されている。抵抗勢力を潰し、民衆の願望を挫き、政権を米国寄りにするためイスラエルは米国の代理でレバノンと戦争を行なった。一方エチオピアは、米国の代理として自国の安全保障の要請に応えるとの口実でソマリアに侵攻した。

 国連安全保障理事会がイスラエルのレバノン侵攻を停止させるいかなる決議を採択することをも妨害したように、米国は12月27日に安保理によるエチオピアのソマリア侵攻の停止と停戦の呼びかけの採択も妨害した。


このように米国自身がソマリア侵攻を承認したのだ。また米国はレバノンでのイスラエルの「任務」終了を待ったように、エチオピアの「任務」完了をじっと待っている。更にアラブ・アフリカ諸国によるいかなる解決努力をも妨害すべく、米国外交団は動き回っている。

米国はソマリアにおける事態の進行を注視しており、アメとムチでの支配を行なう大中東構想の計画に合わせ、パキスタンからモーリタニアまでの地域を一つのものとして考えている。つまり、パキスタンからイラク、レバノン、スーダン、パレスチナ、ソマリア等々全ての場所は、死活的重要性を持つ米国の権益地図とその非合法な計画に則り、米国が求める米国権益地図に記されている。だが米国丸が受ける風が全て順風であるとは限らない。

これらの国々とその国民が合い争い、飢え、小勢力や連邦に分裂し、己を売り飛ばすことは一向に構わない。統一したり力を持たなければ何をしても構わない。特にイスラムは米国の好戦グループが望む「大中東構想」を妨害する躓きの石であり、ソマリアの土地と民衆を統一する象徴なので、米国やイスラエル、エチオピア、穏健派にとって戦うことが求められている。

(参考)「オガデン戦争」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AC%E3%83%87%E3%83%B3%E6%88%A6%E4%BA%89
(Wikipedia日本語版より)

http://www.middle-east-online.com/?id=43896
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