アラブの声ブログ

「アラブの声ML」から極一部を抜粋、日欧米メディアが伝えない主にアラビア語のメディアからイラク問題を中心とするアラブ・イスラム世界の記事を抄訳し発信。リンクや商業目的以外の転載は自由です。

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米国、イラン関係の実態とイラン核開発の行く末 【前編】

مصير النووي الإيراني بعيداّ عن القبلات وعض الأصابع

 17日に大統領選を迎えるイランでは、西部のアラビスタンで爆破事件などが続発し騒然としている中、米国との対立の火種となっているイランの核開発問題はどのような決着を見るのか依然不透明である。その行く末について2日付のイスラム・メモは、冷静な分析で定評のある政治研究家タルアット・ルメイフ氏の評論を報じた。
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 米国とイスラエルのイランに対する脅しが頂点に達し、イランの両国に対する脅迫も頂点に達し、あたかも明日にでも戦争が起きることは論争の余地が無いほどかと思わせる段階がある。

 そうかと思えば、別の段階では、脅迫状態が後退、イラン側は沈静化、欧州勢が調停に乗り出し、相互訪問やキスの応酬となり、何事も無かったかの如くに米国側も静まる。すると突然事態は最初の状態に戻り、その後、再び第二の状態が復活する。この繰り返しが続く。

 『起こり得ない3事態』
 イランの核開発問題を理解するに当たり、以下の3事態は起こり得ないことを押さえておく必要がある。

(1)戦争勃発の可能性は無い
 当事国同士が戦争をすることは全くありえない。その理由は、どちら側にも軍事対決する利益が無いだけでなく、双方が戦争になるぞと脅すのは、政治や戦略の世界で見られる、単に「闘争-対話」形式に過ぎないからだ。事実は、米国側もイラン側も戦争ゲームには真剣ではない。毎度両国が脅迫の矛を収めてきた過去があるからこのような主張をするのではなく、以下の4要因があるのだ。

 1)両国間には議論の余地無く、アラブ・イスラム地域へのそれぞれの戦略に関して、共通の利害がある。それを最も正直に表しているのが、イランのムハンマド・ハタミ大統領やムハンマド・アブタヒーが繰り返した次の宣伝文句だ。「イランの役割と支援が無ければ、米国はアフガニスタンとイラクの侵略、占領を出来なかったであろう」

 2)米国は、強いイランの役割が少なくとも現段階では、この地帯に求められていると考えている。米国の戦略は、この地域の諸国、特に湾岸地方の解体であるとするなら、イランの役割は、イランの存在が他国をシーア派政権に変えるモデルであるからだけでなく、例えばイラクのように、同じ方向(シーア派化)に他国を誘発し、イランの役割増大は、この地域の各地のシーア派の願望や力を増すことにつながるので、極めて重要である。

 3)米国は現在及び近い将来において、対イラン戦争に突入する能力を実質的に持っていない。米軍に於ける予備役軍の状態や、世界中の米軍再編、イラクやアフガニスタンの状況、北朝鮮などの状態など、理由は幾つも挙げられる。

 4)イランを変革させる米国の戦略は、イラクの場合のように外部からの軍事侵攻ではなく、内部からの自動的な変革に期待しているのだ。

(2)核問題だけで米国とイランが対立することはありえない
イランと米国の関係はイランの核問題だけで判断せず、両国間の諸般の問題を考慮して総合的に読み解く必要がある。両国間には次のような対立点がある。

 1)イラクに関して、「同盟-闘争」原則に基づく対立。
 イラク占領後、イラク国内の利益の分配を巡り闘争が起きている。核問題を巡り対立が激化した時期と沈静化した時期を観察すると、イラクで起きていることの影響を受けていることが見て取れる。

 2)カスピ海の石油とイランに隣接するイスラム諸国への覇権を巡る対立。
 公式的にはイランと他国間の問題であるが、カスピ海の石油を巡る闘争は、米国の企業群とイランとの支配権の奪い合いというのが事実だ。

 3)イランの石油を巡り両国は綱引きをしている。
 イラク、リビア、スーダンなどの世界の石油資源を支配したい米国の計画を背景に、イランの石油が、欧州や中国、インド、果ては日本にまで、渡らせないためだ。

(3)米国とイランの闘争は、米国とイラクとの闘争様式と同一であるとはあり得ない。
 イランと米国との闘争は、利益を巡りる争いで、将来を決する闘争ではない。言い換えれば、押したり引いたりが可能か、それに立脚しており、負ければ全てを失うような争いではない。

 周辺諸国の中でもイランの体制が異なっていることだけでなく、全てのイランの闘争史もそのことを物語っている。例えば、イスラエル空軍が稼動開始前のイラクの核施設を空爆した時、シャロン(現首相)と同様にイスラエルの最も過激な司令官は、「我が軍がイランの核施設を破壊することはない」と言ったが、それが起こり得ないことを意味しない。

 一方、イラクに対しては、査察チームにより全ての大量破壊兵器が破壊された後ですら、水も漏らさぬ経済封鎖が敷かれ、イラク侵攻、占領、権力体制の打倒、その後、厳密にはスンナ派に対して最も非道な罪業が行われたのだ。米国はイランに対しては現在、家出息子のように見ている。つまり、圧力と交渉によって、生活様式を変えさせれば、家に連れ戻せると。

【以下、イランゲームの米国以外のプレーヤーたち、核問題の本質、核問題の行方は後編へ】
http://www.islammemo.cc/taqrer/one_news.asp?IDnews=439
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【短報】
*駐イラクロシア大使が13日ナジャフでムクタダ・サドルと会見 開戦後初めて アンバール州の族長連も近く大使と会談予定 「AP」 【ロシア外交が始動か?】

*サウジアラビアの政府に近い著述家が親米政策とアラブ諸国との断絶を唱え、クドゥス・プレスが「サウジアラビア(サウド家のアラビア)王国をサウドアメリカ王国と改名したら」と痛罵 【大中東構想が進行中】

*イラク軍が単独で抵抗勢力に立ち向かうには数年必要 「NYT」

*イラク抵抗勢力が爆発物改良で米国が憂慮 「NYT」

*サダム・フセインの弁護団長ジヤード・ハサーウィナと同じく米人弁護士クリツ・デブラーが衝突 「qp」

*チュニジアの女性たちが米占領下のイラク女性拘留者への支援団体設立 「qp」

*ブッシュにも上げた米国務省機密報告書:米国防総省の支援と支持の下にモサドがイラク人核研究者350人と大学教授200人を殺害 なお殺害目標は千人以上 「エジプトのエル・オスブー」

アラブの声ML に掲載されたこの他の記事  齊藤力二朗
「サマーワの日本軍基地に迫撃砲弾4発が着弾 被害不明」
「ロバに乳牛と書いて貼り付ければ乳牛になるのか? 多国籍軍をサドルが嘲笑」
http://groups.yahoo.co.jp/group/voiceofarab/  
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